神が世に現れたからには、これから先は何時(いつ)でも人間に神の声を聞かしてやるぜ。
朝、目が覚めたとき、ふと聞こえてきたら、それが神の声と思ったらええ。
*
植物が初めて水の中から這(は)い上がって、土の上に取りついてからの苦労にくらべたら、人間、お前たちの苦労などは、何でもないぜ。人間は、今やっと平らな野原に出て、安全に暮らすようになったばかりや。人間のほんまの生活はこれから始まるんや。始まったばかりや。
*
人の喜ぶ姿を見て、我が喜びとし、人の悲しむ姿を見て、我が悲しみとする。
互いに立て合い助け合い、理(神)を立てて身が立つ。人を助けて我が身が助かる。
*
人間の徳が進んでいったならば、病まず、死なず、弱りなきようにしてやる。
*
人は只今(ただいま)の苦労を逃れて、楽の道を行こうとするけれども、どうしても苦労する者には因縁(いんねん)が付いて回るから、逃れなれないから行くところまで行かねばならぬ。
それで、一方を逃れても、また一つ湧(わ)いてくるから、どうしても心焦(あせ)らずに只今の堪能(かんのう)で通るよりほかに道はないぜ。
*
達者(たっしゃ)でせんど生きる道を考えねばなりません。
自分のからだが一の宝や。その宝を紛失せぬように心掛けねばなりません。
死んで仏になるというが、死んだら土(つち)になるのや。
仏、極楽(ごくらく)とは。生きている時にあるのや。神というものは、人間の真心(まごころ)が神であって、仏というのはその日その日の法を説くことで、極楽とは、業(ごう)を砕(くだ)くことや。

明治から昭和初頭にかけて圧倒的な霊能を持った不世出の神人(しんじん)がいた。
井出クニ(1863~1947)である。
世に霊能者の類は多いが、クニはほとんど無名である。
それには理由がある。
兵庫県三木市別所町高木に朝日神社(あさひじんじゃ)を創設し、そこを中心に有縁の人を対象に教えを説いていたものの、対外的に教化活動を行わなかったからだ。


だが、その霊能は圧倒的に際立っており、古今東西においても間違いなく第一級の霊的人物であったと断言できる。
霊視(れいし)・千里眼(せんりがん)・病気治し・予言などクニの霊能は多彩で抜きん出ていた。
Wikipediaでは「井出国子」として紹介されています。