心臓の鼓動がなかった

井出クニの特異性を示す話がある。

信じがたいことだが、クニには心臓の鼓動がなかったという。

神沢道一はクニから「ここを触ってみい」と命じられ、その胸に手を当てると、あまりの冷たさに驚いた。が、それ以上に鼓動がまったく感じされないことに改めて驚愕(きょうがく)したという。これは、生前のクニを知る関係者のほとんどが証言していることである。

一部のヨガ行者は、自律神経を統御(とうぎょ)して心臓の鼓動を聞こえないように弱めることが出来るとされているが、さしずめクニもそのような超人だったのであろうか。

ちなみにクニは「肉体的な修行=苦行」の必要性は認めなかったし、クニ自身も苦行とは無縁の生活であった。