クニは、吉永家の長女であるため、父の弟子を婿養子に迎え、三人の男の子の母親となった。子どもたちが成人すると、彼女は明けの明星(金星)の魂が、自分の中に飛び込んだように思った。
そして、その時から、気持ちが変わりはじめて、夫や子どもや家をすてて独身を続けていた。
やすり鍛冶 井出仙蔵の妻の座に移っていったのである。
井出家の祖先は、清和天皇から出た、源義家であるといわれている。
また、吉永クニの父は、武田信玄の子孫で、井出家と同じ武田源氏とも言われている。
(「心のはらい 神さまのこと」芹沢真一著)