神が秘め隠していた万能の鉱石

共同通信社元支局長の芹沢真一は、昭和51年(1976)1月26日付で当時の内閣総理大臣三木武夫に「政府の命令による鉱石利用に関する報告とお願い」と題する報告書を提出している。

これは、長野県南佐久郡北相木村や南相木村を中心とする「御座山周辺」に埋蔵されている鉄鉱石が、不思議な価値をもった霊石であることを科学的に調査して報告したものである。

芹沢真一が、それを報告するにいたった動機は、井出クニが生前その鉱石について「神様が何千年、人の目から隠しておいた日本の宝であるから、研究を続けて、出来上がった成果は政府に相談せよ」と告げていたためであるという。


芹沢真一は戦前、その鉱石を「ニコル分析」した結果、未知の線2、3本を出すことが解り研究資料としてまとめたものを技術院に提出したところ、昭和20年(1945)4月、技術院総裁の八木秀次博士(八木アンテナの発明者から、その鉱石本来の研究は政府が実施するが、鉱石の利用の件は一任するという研究命令を受けた。

ところが、八木総裁の交代や工場の戦災などの影響で間に合わなかった。終戦後も断続的に研究を続けてきたが、ひとつの結論を得たので報告することになったと記してある。


この鉱石は、昭和20年代の東京都の工業試験場の報告では、「軽い磁性はあるが、比重は鉄よりも重く、酸やアルカリには溶けないから、組織を調べることはできない」というものであった。

その後、神奈川県立工業試験所のニコル分析のグラフでも、未知の線に該当する振動の線が2本現出しているものの、それが何であるか具体的に明らかにできず、またゲルマニュームに似ているが、それ以上のことは不明であった。

いずれにせよ、ガイカー測定器でも測定できない種類の「新エネルギー」を出す鉱石であるというのである。

「私は、この鉄らしき金属が、鉄の同位元素の一種であり、新元素であり、特別のエネルギーを出すことを度々の実験と利用の結果、固く信じている」と芹沢は記している。

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